海外宣教と私
弁護士 佐々木 満男
■本稿は新生宣教団発行の機関誌"NEW CHALLENGE"第3号の掲載原稿です。
それから、イエスは彼らにこう言われた。「全世界に出て行き、すべての造られた者に、福音を宣べ伝えなさい…(マルコ16:15)
1.はじめに
私は、キリストを信じて永遠の命を受け、キリストとともに歩んできた成長の過程において、各種聖書、信仰書、あかし、トラクトなどの文書により、多大の影響を受けてきました。
そのためか、自然に文書伝道の働きに使命感を持つようになりました。そして、これらの文書をたくさん購入したり、コピーしたりして、友人や知人や依頼者の方々に配布するようにしてきました。
そのような個人的な努力によって受け取ってくださった方々から、良い反応があったため、喜んでそれなりに拍車がかかってきました。しかし、その程度のことで満足していました。「私は仕事をしながら、家庭を守りながら、教会の礼拝やクリスチャンの集会に出ながら、文書伝道までやっている。だから、これで十分だ」と自己満足していたのです。
2.転 機
あるとき、同期の弁護士仲間数名と親睦とゴルフの一泊旅行をしました。旅館で夕食をしながら、よもやま話が始まりました。キリストを信じてしばらくたっていた私には、もはや興味を失っていた話題ばかりなので、黙って聞いていました。
そうしたところ、隣りに座っていた仲間が突然、「そういえば、佐々木君はクリスチャンになったんだよな。こんな俗世の話にはもう関心がないらしいね」と言うのです。私は不意をつかれて、どう説明しようかと考えているうちに、別の仲間が、「宗教もいいけどさあ、あまりのめり込まないで、ほどほどにしておいた方がいいよ」と、彼のある顧問会社の話をしてくれました。
宇都宮にある「○○機械」という会社のオーナー社長が人生の試練の時に仏教によって助けられ、それから熱心な文書伝道者になりました。問題は、その社長が、日英対訳仏教典の印刷・配布のために毎年会社の利益をほとんど献金してしまうので、それが深刻な労使紛争になっていると言うのです。その金額はある年には十億円を超えていたそうです。
そう言えば、昔は仕事の出張などでホテルに泊まると、部屋のテーブルの引き出しには必ずギデオンの新約聖書が置かれていて、退屈しのぎに何頁か読んでみたものです。ところが、その頃になるとどこのホテルへ言っても日英対訳仏教典が並んで置かれるようになりました。それがロスアンゼルスやニューヨークのホテルでも見かけるようになったのです。
その弁護士に言わせると、その社長があまり献金をするので、日本のホテルでは置き場がなくなって、外国のホテルへどんどん輸出しているらしいのです。
この話を聞いて私は非常に大きな衝撃を受けました。その晩は一睡もできませんでした。翌日も考え込んでしまい、「体調が悪いから」という理由でゴルフをやらないでそのまま帰宅してしまいました。
私がショックを受けたのは、ひとりの人が本気になればそこまでできるのか、ということでした。もしかしたら、その人はたったひとりで、日本の聖書配布団体全体でしているよりも、配布数という点でもっと大きな働きをしていたかも知れません。その人に比べれば、私のやってきたことは、ほんのママゴト遊びに過ぎなかったのではないか、趣味に毛がはえたようなものでしかなかったのではないか、と反省させられました。主が、私の生ぬるい信仰に気付かせるために、この話を聞かせてくださったのだと信じています。
このことがきっかけで、私の文書伝道に対する考え方が大きく変わってきました。それまでの個人的な知人・友人レベルから、日本全国を対象とし、また全世界を視野に入れたキリスト教文書配布のために祈るようになったのです。
3.海外への聖書配布
そうすると次第に世界各国で聖書がいかに欠乏しているかわかってきました。今では、分冊を含めると聖書は毎年2億冊も印刷されていると聞いています。しかし、このうち多くの部分は既に聖書を持っている人たちが再購入しているのではないでしょうか。私も外国語聖書を含めてひとりで(個人用に)10冊以上聖書を持っています。
現状は、アフリカのキリスト教諸国を含めて聖書の輸入・配布が禁じられていない貧しい国々では、聖書の保有数は非常に少ないようです。社会主義・共産主義国、イスラム教国、ヒンズー教国、仏教国等で聖書の輸入・配布が禁じられたり、制限される国がどんどん増えてきました。そのような国々では、聖書を集めて大量に焼却しているところもあるのです。
そのような現状を知るにつれて、日本で聖書を印刷して海外に送る働きを、祈りと献金という形で、支援するようになりました。あるときは、主の導きによって、住宅資金を全て捧げて旧ソ連、東ヨーロッパに2百数十万冊の聖書等の福音文書を送ることができました。その聖書によってひとりでも多くの方々がキリストを信じて救われて欲しいという願いが起こされたからです。一機数十億円もするジェット戦闘機を購入して戦争に備えるよりも、一冊でも多くの聖書を送って愛を実践することによって、人々の心から恐れや憎しみが取り除かれて、戦争を未然に防ぎたいという思いもありました。
4.日本にいる外国人への宣教
今面白いことが起こっています。開発途上国から観光ビザで入国して、そのまま不法に滞在をつづけて、働いている外国の人たちがたくさんいます。ところが多くの場合、低い賃金に比べて家賃などの生活費が高くて、思うように蓄財できなかったり、病気になったり、事故にあったり、日本人に差別されたり、孤独感に陥ったりして、困難と苦しみに直面します。
そのような外国人の方々が教会に来て、キリストを信じるようになると、彼らの人生観が一変してしまうのです。神を信じて見ると、物質的富の満ちあふれている日本人が決して幸せではないことがわかります。
彼らは日本人を可哀想に思って福音を伝え始めます。そして中には、牧師や宣教師になって本国に戻る方々もいるのです。非キリスト教国である日本から、外国人の牧師・宣教師を海外に送り出していることになります。私はこういう方々のために、法律相談に応じたり、財政面で支援したり、本国に聖書を送ったりしています。
また、東京大学を例にとっても中国から8百人以上の学生が留学して勉強しています。日本に留学や語学研修・技術研修で来ている中国の方々は大勢います。そういう方々に中国語の聖書を配布しています。その中からキリストを信じて帰国する方々が起こされることを期待しています。
6.文書伝道の力と世界宣教
私は、「福音宣教のために文書伝道は最も有効な手段のひとつである」と思っています。まず、神ご自身が言葉を重視され、そのご意志を伝えるために、聖書という文書を用いておられます。私たちには、聖書を毎日読むことによって、そこに書かれている正確な神の御言葉を通して神と交わる、すばらしい特権が与えられています。
メッセージやあかしも、何度も吟味・検討されて、文書にされることによって、正確なものとなります。これらの文書をコピーしたり、印刷することによって、大量に配布することができます。また、文書は長期間の保存に耐えます。繰り返し読むことによって、ますます深く神の真理と恵みを知り体験することができます。
今や世界はインターネットの時代に入り、AD2000年には5億人が利用するようになるであろうと予測されています。仕事でインターネットを使い慣れているビジネスマンたちが、あかしをEメールで海外にいる日本人に送って福音を伝える働きが始まりました。昨年秋に日銀総裁の速水優氏が慶応大学でキリストのあかしを語られましたが、この講演記録がEメールで世界各地に送られて海外邦人の間でも大きなセンセーションが起こりました。
この働きが海外邦人に留まらず、外国人の方々にも及ぶように、日本人のあかしを外国語に翻訳して海外に送り届けていきたいと願い、準備しています。さらに、あかしのホームページを作ってこれを公開すれば、世界中の方々がアクセスすることができます。このあかしが受信人によって転送されたり、プリントアウトされコピーされ大量に配布されていったら、国境を越えて非常に多くの人々に福音が届けられていきます。日本に居ながらにして、主の世界宣教命令を、誰もが実行できる時代が到来したのです。
また、普及しつづけるマンガ出版の分野で、福音を伝えるためのマンガ週刊誌の出版のために祈ってきましたが、ようやくこれが準備段階に入りつつあります。日本のマンガは海外にも輸出されていますが、あまりにも内容が愚劣のものが多く、そのために輸入が禁止されている国もあるほどです。私の願いは、日本の福音伝道用マンガ週刊誌や単行本が外国語に翻訳されて、海外に輸出されていくことです。
さらに、オペレーション・モービライゼーション日本事務局(OM Japan)の理事のひとりとして、福音宣教船(ドウロス号とロゴスU号)に日本人の若者が数多く乗船して海外宣教の働きに加わるよう支援してます。この福音宣教船の最も重要な使命のひとつは、世界の寄港各国に福音文書を配布、販売、寄贈することです。
このようにして、福音に関してはこれまでずっと、輸入国であった日本が、輸出国に転じることができるように願い、祈っています。「受けるよりは与える方が幸いである」(使徒20:35)と聖書にありますように、私たちひとりひとりが、海外に福音を宣べ伝るようになれば、主から大きく与え返されて、日本にも大きなリバイバルが興されて来ることでしょう。
与えよ。そうすれば自分にも与えられるであろう。人々はおし入れ、ゆすり入れ、あふれ出るまでに量をよくして、あなたがたのふところに入れてくれるであろう。あなたがたの量るその量りで、自分にも量りかえされるであろうから(ルカ6:38)。
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