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核心を突く

弁護士  佐々木 満男


■本稿は恵みの雨"連載記事「あらゆる問題は解決できる」の2000年11月号の原稿です。



1.何が問題なのか

問題を解決するためには、まず、一体「何が問題なのか」を明確にすることが大切です。問題が複雑になると、どこから手を付けたらよいかわからなくなるからです。また、問題をあいまいにしていると、なかなか具体的な解決策を思い付きません。

悩んでいても、「何が問題なのか」がよくわからないことがあります。そんな時は、問題を紙に書いてみるとよいでしょう。文章に表現するためには、「何が問題なのか」をはっきりさせる必要があるからです。複雑な問題は、番号を付けて問題点を箇条書きにしていくと、全体像がつかめるようになります。

手書きの文をタイプすれば、もっとわかりやすくなります。さらにそれを簡単な図式にすれば、もっととらえやすくなるでしょう。
こうして、問題を客観化し、視覚化してみると、「何が問題なのか」がはっきりしてきます。問題を明確にする目的は、「問題の核心」をつかむことです。核心すなわちキーポイント、またはキーホール(鍵穴)を見つけることによって、それを開けるキー(鍵)を見つけたり、作ったりすることができるからです。

どんなに頑丈で大きな扉も、その鍵穴に鍵を差し込めば、かんたんに開けることができます。それ以外の方法で開けようとすれば、扉を壊すことになるかも知れません。それには大変な労力を要します。


2.ベンチャー・ビジネス

数名のビジネスマンがそれぞれ勤務していた会社を辞めて新会社を作り、一緒にベンチャー・ビジネスを始めました。当初は新しいビジネスを立ち上げるために仲良く仕事に励んでいました。ところが、しばらくして会社の運営方針の食い違いから問題が生じ、二派に分かれての大きな紛争になってしまいました。ついには、会社を解散して、お互いにこれまで生じた損害の賠償を請求し合う裁判にまで発展しそうになったのです。

私は両方のグループから仲裁を依頼されました。双方の言い分を聞いてみましたが、いくら聞いても、「何が問題なのか」がよくわかりません。お互いにかなり感情的になっていて、相手側の欠点や不誠実を非難するばかりで、「問題の核心」がつかめないのです。そこで双方から詳しい説明書を提出してもらいました。

双方の説明書の言い分は正反対で、妥協の余地は全くないように思われました。しかし、神に祈りつつ説明書を繰り返し読んでいると、「問題の核心」が見えてきたのです。それは、「銀行から借金をしてでも積極的に販売拡大を図るか、借金などをせずに自分たちで出資した資本金の枠内で慎重に運営するか」という方針の食い違いでした。

よく聞いてみると、積極派のグループは商社出身で、慎重派のグループは銀行出身です。積極派は慎重派の煮え切らない態度に腹を立て、一方的に融資の話をつけてしまいました。それが感情的な対立に発展したのです。会社を発展させたいという気持ちは同じなのに、それぞれ以前の勤務先のカラーが出たために、紛争になってしまったようです。

こうして問題の核心がつかめましたが、次は、どのようにしてその核心を突くかです。祈りのうちに示されて、「積極派が計画している借入金額を半額にするということで歩み寄ったらどうか」と提案しました。双方不満ながらも、会社を潰すよりはもう一度やってみようという気になり、我慢してこの提案を受け入れてくれました。その結果、売り上げが急増し、会社の業績が良くなったため、他の諸問題は自然に問題にされなくなってしまいました。

往々にして、問題は新たな問題を生み出します。そしてどんどん増えていきます。そのうち問題だらけになり、収拾がつかなくなってしまうのです。それらの諸問題を一つ一つ解決しようとすると、大ごとになってしまいます。けれども、複雑に絡み合った数々の問題の核心をつかむことができたなら、その核心を突くことによって、他の派生的な問題も一挙に解決してしまうことがあるのです。


3.核心を突く

イスラエル軍とペリシテ軍が対決した時、よろいとかぶとで完全武装した巨人ゴリアテがペリシテ軍の代表として戦いを挑んできました。ところが、イスラエル軍の代表ダビデは、武装もせずに、小石の一撃でゴリアテを倒してしまいました。神を信じる信仰によってダビデの投げた小石が、ゴリアテの唯一無防備の額を突いたのです。ゴリアテが倒された結果、ペリシテの大軍は総崩れになって敗退しました。

このように、問題がどれほどたくさんあり、どれほど大きく思われようとも、問題の核心をとらえて突けばよいのです。核心を突くことによって、関連するすべての問題が将棋倒しのように解決してしまうことが多いのです。

問題の核心(鍵穴)がどこにあるのかを教えてくださるのは、イエスさまです。その核心を突く方法(鍵)を教えてくださるのも、イエスさまです。ですから、イエス・キリストこそが、あらゆる問題を解決する「マスター・キー」であると言うことができます。

 

ダビデは手を袋に入れて、その中から一つの石を取り、石投げで投げて、ペリシテびとの額を撃ったので、石はその額に突き入り、うつむきに倒れた(サムエル上十七章四十九節)。

マルタよ、マルタよ、あなたは多くのことに心を配って思いわずらっている。しかし、無くてならぬものは多くはない。いや、一つだけである・・・(ルカ十章四十一、四十二節)。



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