恵みを数える
弁護士 佐々木 満男
■本稿は恵みの雨"連載記事「あらゆる問題は解決できる」の2000年5月号の原稿です。
1.恵みを数える
問題に心がとらわれて、どうしても頭から離れないことがあります。四六時中、問題のことを考えているのですが、解決のめどが立ちません。そのような時は、神から与えられている「恵みを数える」とよいと思います。恵みを数えているうちに、問題から解放されていきます。
今、生き、生かされている。今日も空に太陽が輝いている。着る物、食べる物があり、住む場所がある。戦争もなく、地震もなく、危害や事故もない。心臓が動き、血液が体中を循環している。家族があり、友人がある。美しい星空、澄んだ空気、緑の野山、大きな海原、きれいな愛すべき動植物。
ゆっくりと心を落ち着けて恵みを数えてみると際限なくつづくことに気がついて、驚かされます。恵みを思い起こしているうちにだんだんうれしくなってきます。そして問題の負担感が小さくなって、次第に心が解放されていきます。ついには、問題に正面から取り組んでこれを解決しようとする、力と勇気が湧いてきます。
2.雪の中で
ある時、非常に難しい事件を受任しました。複雑な人間関係の問題がからんでいる事件で、私自身もその問題に縛られて、身動きがとれなくなってしまいました。どうやっても解決の見通しがつきません。事件をどのように解決しようかと、いつも考えてばかりいました。
そんな時、家族とスキーに行くことになりました。「スキーをして遊んでいる場合ではない」と思いましたが、前々からの約束でしたので、行かざるを得ませんでした。スキー場へ着いても気が晴れず、リフトに乗っても事件のことを考えています。やがて、混雑したゲレンデで家族からはぐれてしまいました。そのうちに、滑りながら事件のことを考えていたためか、小さなカーブをうまく曲がり切れずに、浅い谷間に落ちてしまったのです。けがはしませんでしたが、ショックのあまり起き上がれず、私は新雪の中であおむけになったまま天を見上げていました。
空からは、無数の白銀の結晶がいつやむともなく降り落ちてきます。その瞬間ふと我に返って、「すごいなあ!」と思いました。この数え切れない膨大な量の雪を降らせておられるのは、私たちの天の父であると気がついたからです。問題にばかり心がとらわれていて、それまで神のすばらしい恵みといつくしみを味わうことができなかったのが、神と家族に対する大きな罪であったことに気がつきました。
雪の結晶は一つ一つがそれぞれ異なっていて、同一のものは全くないことは知っていました。そんな個性のある雪を、かくも美しく造り、惜しみなく降らせてくださる神に心から感謝しました。それからは「すごい!すごい!」という感動の連続でした。口を大きく開けて、雪がどんどん入ってくるのを楽しみました。「あなたの口を大きく開けよ。わたしはそれを満たそう」という詩篇のみことばが心に響きわたりました。
まさに神の恵みの豊かさに圧倒されるようです。あたかも天国にいるようで、ずうっとそのままでいたいと思いました。その時、「天国とはこのような心の状態にちがいない。天国は必ずある!」と確信しました。
一つ一つの雪の結晶は神の恵みそのものであり、またその象徴です。私はあまりの喜びのゆえに、事件のことなどはすっかり忘れて、浮き浮きした気分でスキーから帰ってきました。こうして神の恵みよって強められた結果、その問題に具体的に取り組んで、これを解決することができたのです。
3.人生のスパイス
私たちは生きる過程でいろいろな問題にぶつかって苦しみ、傷つくことがあります。けれどもよく考えてみると、神の無限の恵みに比べれば、それは例外中の例外にすぎないことがわかります。数え切れない喜びと、感謝すべきことに取り囲まれていながら、それに気がつかなくなっているだけのことです。
そうすると、無数の恵みの中のいくつかのいやな問題も、本当は益をもたらす恵みなのだと思えるようになります。それらは人生という神のごちそうを、一層おいしくするスパイスなのだと思えるようになるのです。「神は、神を愛する者たちと共に働いて、万事を益となるようにしてくださる」と聖書に約束されています(ローマ八章二八節)。人間的には受け入れ難いいやな問題も、実は、益をもたらすすばらしい恵みなのです。
「恵みを数える」とは、神の恵みに思いを向けることです。神の恵みに思いを向けると、神の無限の恵みの世界に入っていくことができます。そして、キリストの無尽蔵の富(エペソ三章八節)に至ることができます。
問題にとらわれているのは、世の問題に心が向いているからです。世の問題に心が向いていると、問題から問題へと、呪いの世界に引きづり込まれていってしまいます。
問題から心が解放されるためには、私たちの心の方向を、世から主へ転換すればよいのです。「恵みを数える」のは、そのための手段の一つです。具体的に恵みの一つ一つを思い起こすことで、私たちの心の方向を、世から主へ転換するのです。地から天へ心を方向転換するのです。
そうすると、神の恵みによって強められ、問題を解決する力を得ることができます。問題を人生のスパイスとして楽しむことができるようになるのです。
わがたましいよ、主をほめよ。そのすべてのめぐみを心にとめよ(詩篇一0三篇二節)
あなたはキリスト・イエスにある恵みによって、強くなりなさい(Uテモテ二章一節)
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